ブラジル紹介:アルミ精錬事業・アルブラス社今回は皆さんの身近にあるアルミに関して紹介します。 アマゾン地域の天然地下資源を活用したアルミ精錬事業です。 1967年にアマゾンのトロンベッタ河流域でアルミの原料となるボーキサイトの鉱床が発見され、ブラジル政府が日本にその利用について協力要請をしてきた。 ボーキサイトは価格も安く日本までの運賃負担力はない。アルミナにすれば価格は上がるが、折角ならアルミ地金(インゴット)にして日本へ輸出しようということになりアルブラス社の建設となった。そのためには電解用の電力が必要となる。 ブラジルのツクルイダムが日本のODAで造られ、そしてそのダムの建設は日本企業という構図で、アマゾン川河口の町ベレン市から約300kmのトカンチス川上流にツクルイ発電所が建設され、1984年に完成した。 発電出力は400万KWで、第2期の拡張工事が終わると出力は812万KWとなる。この発電所を流れる水の年間平均流量は約1万トン/秒であり、ダムによって生れた貯水池の面積は2,430平方キロで琵琶湖の約3.5倍にもなる。 Albras社(Aluminio Brasileiros S.A) Albras社は、日本とブラジルの共同プロジェクトとして、パラ州ベレン市バルカレナ(Barcarena)に1985年操業を開始したアルミ精錬事業で、日本側は日本アマゾンアルミ社(三井アルミ他精錬会社・商社・民間31社と海外経済協力基金で設立) が49%出資、ブラジル側はCVRD社(Companhia Vale do Rio Doce) が51%出資で設立された。 その後精錬技術の向上と増設で、現在の生産能力は435,000㌧/年(2004年現在)。アルブラス社は、960基の溶解炉を持つアルミ生産工場と原材料アルミナを電気分解する為の電極製造工場からなる(電極は消耗品)。 溶解炉 電極 アルミの製造は、ボーキサイトからアルミナを生産し、アルミナを電気分解することでアルミを生産する。原材料のアルミナ生産はアルノルテ社が担当。 溶解炉1基の生産能力1.4㌧/日、(24時間稼動・365日の操業。) 従業員は1,350人と外注社員約400人の計1,750人で日夜生産に励んでいる。 1.4㌧/日×960基≒1,200㌧/日、1,200㌧/日×365日≒435,000㌧/年。 多少の設備稼働ロスがあるようだ。 生産量の49%は日本へ直接輸出し、51%はブラジル側が引取るが、その内60%近くが日本に向けられているようです。 工場近辺には、従業員用の社宅・学校・スーパーマーケット・病院等を備えており、近隣住民にも開放している。 ベレン在住の従業員も多く、彼らはベレン港から定期船で約1時間半の通勤となる。 2002年にアマゾン支流のガマ河に橋が開通したので陸路でも通勤できるようになった。 車と船との通勤時間は大差ないようだが、車は遠回りになる為か従業員は定期船通勤が多い。 生産されたアルミの溶解温度は960℃で傍によるのも熱いが、従業員は特殊服を着て頑張っている。 この工場の溶解炉の電極に流れている電流は僅か6ボルト程度なので感電する危険はないが、強烈な電磁波があり、時計・クレジットカード等の持込は出来ない。 アルブラス社が消費する電力量と140万都市のベレン市が消費する電力量はほぼ同量であり、いかにアルミ精錬が電力を消費するかがうかがえる。 溶解したアルミを型に流し込んで冷やし、純度99.7%のアルミのインゴットを生産する。型に流して冷やしたインゴットは1個22kgで、44個約1㌧を一山に梱包している。梱包といってもバンドをかけるだけであり、 保管も野積みである。 次回はボーキサイトからアルミナを生産しているアルノルテ社を紹介します。
by wagahai_tt
| 2007-11-01 06:57
| ブラジル紹介
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Comments(13)
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kinako1104t at 2007-11-01 09:24
おはようございます。
やっとこちらに入れるようになりました。 私のパソコンの不具合だったようです。 またよろしくお願いいたします。 私たちの生活に欠かせないアルミ、ブラジルの生産が あることさえ全く知りませんでした。 大きな工場なんですね。 電気の使用量がアルブラス社が消費する電力量と 140万都市のベレン市が消費する電力量がほぼ 同じと聞いてビックリしました。
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yukun588 at 2007-11-01 09:31
確か、日本のアルミ業界では201?年問題とかがあって、廃液の問題から、国内でアルミの精錬が出来なくなり、オーストラリアからの輸入に
頼るようになるという様な記事を読んだ気がします。 でも、年間20万ton以上をブラジルのベレンに頼っているのですね♪ 初めて知りました。 いったいどのくらいの数の日本人技術者が来られたのでしょうね?
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wagahai_tt at 2007-11-01 10:24
きなこさん、おはよう。
さっき、きなこさんの得意料理を味わいに行って来たよ。 アルミの地金(インゴット)をアマゾンで生産しているのですよ。 しかも日本との共同プロゼクトで・・・。 日本から遠いようで、近いアマゾンでしょう。 このプロジェクトの為に、アマゾンに発電所も建設したのですよ。 お陰でベレン市の電圧も安定して、パソコンも使えるようになりました。
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wagahai_tt at 2007-11-01 10:42
yukunさん、おはよう・・・。
日伯共同プロジェクトでアルミ精錬事業を、アマゾンで立ち上げたのですよ。 日本は年間30万トン以上の地金を、アマゾンから輸入しています。 84年当時の建設時期は、日本から技術者が100人程、単身で来ていましたよ。 当時、ベレンの夜の数少ないカラオケは、何処に行っても満杯でした。 でも、我々が入って行くと、彼らはサッと席を譲ってくれましたよ。 アマゾンで日本人同士がお互いに譲り合っていましたね。 そんな思い出があります。 現在は日本からの出向者は1人です。 1人のジレトールが日本を代表して経営管理業務をやっているようですよ。
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seisuis at 2007-11-01 11:29
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wagahai_tt at 2007-11-01 12:09
seisuisさん、こんにちは・・・。
我々の住宅や車やseisuis夫婦の好きなアルミ缶まで、生活に密着したアルミが、アマゾンで採れたとは思わなかったでしょう。 これもアマゾンの恵みですよ。 こうして見ると、日本とアマゾンは距離は遠いが、関係は近いでしょう。
こんにちは♪
こうして解説していただくと、良く判ります いかに何も知らないで居た事か・・・ <アルミの原料となるボーキサイトの鉱床>の事も・・・ アルミの原料がブラジルで作られている事も・・・ 随分勉強になりました、有難うございましたm(__)m ますます行ってみたくなりました(^^♪
こんにちは~♪
アルミのことはさっぱり分かりません。 でも、周りを見回してみるとアルミって結構使われていますね。 こんなにブラジルのお世話になっているなんて知りませんでした。 とても勉強になりました(^-^
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kita800 at 2007-11-01 18:43
こんばんは。
う~~~アルミのお話難しいけど、私たちの周りには いっぱいアルミがあるんだって気づきました! 今日から11月…月日が立つのって早いですね。 あと少ししたら~冬将軍の足音も聞こえてくるかな~ 今月もよろしくお願いします!
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rin-koko at 2007-11-01 19:30
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koyomi-w at 2007-11-02 21:35
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kmaroon at 2007-11-04 15:09
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wagahai_tt at 2007-11-06 09:56
sumikoさん、
かおりん さん、 keikoさん 凛 さん、 koyomiさん、 マロンさん、 おはよう・・・。 九州福岡に一人住まいの義兄の容態が急変し、 急遽久留米医大に一週間ほど行っていましたので、 返事が遅くなりました。 義兄も命を取り留めましたので、先ほど帰阪しました。 これからぼちぼち皆さんの所にもお邪魔します。 これからもよろしく・・・。
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