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2011年4月12日、13日 トメアスーでの研修

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Asflora 4月度の活動報告を紹介します。

トメアスーでの研修

Asflora(アマゾン森林友の協会)では、足掛け4年間、零細農業者への森林農業普及支援を行っています。このプロジェクトは、日本のNPO地球と未来の環境基金(Eco Future Found)、緑の募金(ミキモト社の助成)によるご支援を得ています。

その成果は、決して大きなものではありませんが、現在支援中の開拓部落エスペジット・リベイロの入植者協会からはとても喜ばれています。今年は、その入植者の人たちに森林農業(アグロフォーレスト)への理解を深め、この農業システムが生活向上になることを先進地域で研修してくることを年間計画の中に組み込みました。日系人の運営する、トメアスー農協、トメアスー文化協会の力強いご協力を得られ、エスペジット・リベイロ部落のあるサンタ・バルバラ市EMATER(州農業指導所)からも積極的な協力を取り付けられ、4月12日(火)、13日(水)の丸2日間で、研修旅行が実現しました。

参加者は、部落の人たち14名、EMATERから3名、Asfloraからは2名の計19名でした。
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12日午前10時からトメアスー文化協会会館で、アグロフォーレスト研修会が始まりました。
上の写真中、マイクを持って話している人はアントニオ・ブラガ氏(EMATER本部のスタッフ)で、今回のAsfloraのイニシアチブとトメアスー側の協力を絶賛してくれました。
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会館では、併設されている移民資料館を見学し、トメアスー移住地の82年間の歴史を知りました。開拓初期にマラリアで多くの犠牲者を出したことなど、数々の入植者たちのご苦労に思いを馳せました。

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昼食後、トメアスー第4区という地区で、5年前からトメアスー農協、文協によるアグロフォーレスト支援を受けているコミュニティを訪ねました。ここでは、三井環境基金(左上写真)と緑の募金(右上写真)による家族農業支援助成金が活かされていました。

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左上の写真、左端がここの生産者協会の会長ジョゼ・マリア氏。5年前から組合理事 小長野さんの指導を得て、15人が力を合わせて営農向上に取り組んでいます。彼の畑(右上写真)は、15ヘクタールにアグロフォーレスト・システム(SAF)を導入し、マラクジャ(パッションフルーツ)、胡椒、クプアスー、カカオ、アサイ椰子の実などの生産が始まっています。今年の粗収入は、10万レアイス(500万円余)が見込めるとのことです。以前は、フットボール(サッカー)で汗を流していたが、もう仲間も含めてそんな時間が無くなったので、フットボール場は潰してしまったと笑っていました。
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写真上)36年経ったアグロフォーレストの畑(森)を見せて貰いました。カースターニャ・ド・バラの大木を見上げています。ここで、小長野道則さんから、森をつくる農業、アグロフォーレストについて説明を受けて、みんなすんなりと理解をすることが出来ました。

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この日最後の訪問地は、小長野道則さんのお兄さん(左写真中央の帽子を被った方)の農場でした。ここでは、カカオとアサイ椰子の混植が見事です。農場全体に灌水施設が行き届いています。アサイの実は、需要が多く引っ張りだこですが、端境期にも灌水によって収穫を上げ、良い値段で販売していると説明を受けました。

f0096068_5244254.jpg左写真)カカオの発酵槽です。チョコレート原料のカカオ豆は、1m高の木枠の中に果入れられてバナナの葉で覆い4日間発酵させた後に乾燥させます。最近、明治製菓がトメアスー産限定カカオ豆使用のアグロフォーレストリー チョコレートを売り出しています。



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カカオの実(左写真)と、トメアスーのカカオ豆で作られたチョコレート(右上)です。包装には「森をつくる農業」で栽培されたカカオ豆と記されています。




翌日13日は、朝7時半に宿舎を出て小長野農場に8時に到着、11時まで農場を見学させていただきながら、とても分かりやすく心のこもった説明を小長野道則さんから聞かせて頂きました。
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農場では、SENAR(農村教育機関)による安全講習会が開かれていて、訪問した私共を紹介してくれました。その場で、エスペジット部落の人たちにも、SENARの各種農村講習の仕組みを説明してくれました。

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小長野さんからカカオやクプアスーの接ぎ木(左写真)の仕方を教えて貰いました。収穫量、生産性の向上への経験談、全員真剣に耳を傾けていました。

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写真左上)受講者たち、畑でもらった、実が大きく耐病性の高い優良種のカカオを、抱えています。種を取って、各自苗木を育て、畑に植えると意欲を膨らませました。
写真右上)カカオ園の土は、このようにミミズが沢山居て、ふかふかの団粒構造の土になっていることの説明も受けました。各肥料要素の説明、施肥の方法など大変分かりやすい説明でした。 実学に則った素晴らしい小長野さんの農業知識と、200ヘクタールの農場経営で立派な収益をあげている姿に、にみんな魅了されたひと時でした。

昼食後、午後1時から1時間、高松寿彦氏(下写真右端)の農場を見学しました。高松さんは、JICAアマパ州プロジェクトで、アグロフォーレスト指導を足掛け5年も続けておられます。自然農法による養豚を導入して、その普及にも努めている方です。
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写真上)ここは、油椰子をバナナ、カカオ、インガ(樹木)、アサイその他と混植をするアグロフォーレスト実験圃場。化粧品会社Naturaによる委託試験圃場で、2年が経過したところです。2haの試験区2カ所があります。森のような農場(左下)を見せてもらい、自宅前で記念写真(右下)を撮りました。
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高松農場の後は、トメアスー農協のジュース工場と「十字路」にある組合倉庫、搾油工場を見せて貰いました。

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クプアスーが大量に入荷していましたが、工場内では、ゴヤバ(グゥアバ)が加工中でした。この工場から、日本にもアサイ果汁を主に年間1千トン以上が輸出されています。冷凍倉庫は2,400トンもの貯蔵能力があります。下右の写真は、日本向け出荷中のアサイ果汁で、JAS有機栽培認証を得ている製品でした。
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ジュース工場から、バスで7分のトメアスー農協(CANTA)本部に行き、まず倉庫を見せてもらいました。そこには、胡椒が山積み(右上写真)されていました。この倉庫、屋根のスパンが広い(20m?)のですが、木製の骨組みで波打つこともなくしっかりしています。相当古い建物ですが、聞けば日本人大工の手によるものということでした。
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次いで、搾油工場を北島アウグスト工場長の案内で見せて貰いました。クプアスーの種子から搾油中(右上)で、澄んだオイルがドラム缶に詰められて、ブラジルの大手化粧品会社Natura向けに送られていました。ジュースを絞った後、昔は堆肥になっていたものを原料にして、今は注文に応じきれないほどという嬉しい悲鳴を聞きました。アンジローバの種子も沢山入荷していて、この油も注文が多いということでした。エスペジット・リベイロでもAsfloraはこのアンジローバの苗を沢山配っています。5~7年後から種子が取れるようになったら、この工場で買い取ってくれそうです。


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今回の訪問研修の最後は、搾油工場に付属する原料種子倉庫でのお別れの挨拶でした。
Asfloraを代表して、佐藤からは小長野さん、鈴木エルネストさんたちが、回りの農民の人たちが幸せになることを自分の幸せとして行動されていることを見せて頂き、とても心が温まったことを伝えました。

本当に、組合、文協の方々お世話になりました。忙しい中を、我々の訪問日程のために労を惜しまず準備して下さった、鈴木エルネスト氏(左上写真の右端)、文協の松崎氏、組合理事の小長野氏をはじめ訪問先の皆様、本当にありがとうございました。EMATER(州農業指導所)のバス手配と随伴へのご協力にも深謝します。エスペジット・リベイロ入植地のミランダ会長他、熱心に研修を行った参加者にも、その意欲に敬意を表します。
4月19日には、今回の訪問成果を部落で披露する集会を持つそうです。今後の入植者の人たちの頑張りぶりが、とても楽しみです。

                 ASFLORA‐Instituto Amigos da Floresta Amazônica
                               アマゾン森林友の協会
                               佐藤卓司(文)

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by wagahai_tt | 2011-04-24 06:09 | Asflora

ブラジル紹介:面白い出来事・印象に残る事柄etc.(117)

ブラジルで印象に残った話をまとめてみた。

184.        薬用樹:コパイバ
コパイバ(学名:Copaifera multijuga Havne)は、薬用の油が採れる木です。
油には抗生物質、抗炎症、傷治療、抗癌などの効果があり、また、潰瘍や咽頭炎、フケや肌の治療、利尿薬、消毒薬、去痰剤、興奮剤としても使用され、気管支炎、皮膚病、乾癬(かんせん)にも効くといわれます。咳のうがい薬には木の皮が使われ、ペルーのアンデスでは油が有痛排尿困難、梅毒、カタルなどの病気にも用いられます。
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コパイバの木は枝が多く、15~30mの高さに成長します。長い円錐花序には白くて小さな花と種が2~4個入った小さな実をつけます。

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コパイフェラ属には35種類の植物が分類されていて、その多くは南米の熱帯性気候、特にブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ギアナ、コロンビア、ペルー、ベネズエラで見ることができます。これらのうち“C. langsdorffii”の自生地はブラジル中央部に限定され、“C. reticulata”はアマゾン地域原産、“C. officinalis”は広く南米(アマゾンを含む)に分布しています。それぞれが伝統薬用ハーブとして互換的に用いられています。

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しばしば薬用として用いられるのは、コパイバの幹の空洞に溜まる樹液=オレオ・レジンです。メプルシロップと同様に、幹にドリルで穴を空けたり、傷を付けたりして樹脂が集められます。1本のコパイバの木から1年で約40リットルのオレオ・レジンが採れるので、コパイバはサスティナブル(持続可能)な熱帯雨林資源として注目されています。採れたてのオイルは透明でサラサラしていますが、空気に触れると色・粘度共に濃くなってゆきます。市販されているコパイバオイルは粘度が高く、色は青緑色から金色がかった明るいブラウンです。

アマゾン川流域北西地方の『リオ・ソリモエス』では、コパイバ樹脂が、傷薬、肌荒れ、疥癬(かいせん)、淋病の治療に伝統的に用いられています。今日でもアマゾン地方に住む多くのヒーラー(呪術医)やシャーマン(祈祷師)がコパイバ樹脂を使い、痛み、皮膚疾患、虫刺され、炎症の治療を行っています。ブラジルのハーブ医療現場では、コパイバの強力な殺菌作用や炎症を抑える作用を様々な疾患の治療に用いています。応用例としては、肺炎や鼻炎が原因で発生する呼吸器管の去痰、膀胱、肝臓、泌尿器系の感染症、あらゆる種類の皮膚障害、癌、胃潰瘍があります。ブラジルの薬局や店舗でコパイバ樹脂はカプセルやジェルの商品形態で販売されています。ブラジルの一般家庭では、コパイバオイル15滴を温かいお湯に入れてうがい液を作り、扁桃腺の炎症や喉の痛みに用いています。ペルーの伝統医療でもコパイバが喉の炎症に用いられますが、3~4滴のコパイバ樹脂をスプーン一杯のハチミツとブレンドします。ペルーの伝統ハーブ医療では、炎症を抑制し、胃腸からガスを排出し、利尿機能を高め、尿失禁等泌尿器系のトラブル、胃潰瘍、梅毒、破傷風殺菌、鼻水、気管支炎、ヘルペス、胸膜炎、結核、出血、リーシュマニア症の治療にコパイバを利用しています。

癌や腫瘍現象に対するコパイバが与える作用についても科学的見地からの実証例の報告を見ることができます。1994年、日本の研究グループがコパイバから抽出したクレオデン・ジテルペンが癌腫瘍に対し及ぼす作用を確認する為のラット実験を行いました。コラベノルと呼ばれるコパイバ含有成分を1日あたり41mg/kgの割合で癌細胞を持つネズミに与えたところ98%寿命が延び、標準的な化学療法薬(5FU)のケースが46%だったので、コラベノルが2倍有効に作用したと報告しています。


(写真借用:www.kokiriko.co.jp/copaiba/copaiba-marimari-sp.htm )
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by wagahai_tt | 2011-04-17 03:54 | 薬用樹

ブラジル紹介:面白い出来事・印象に残る事柄etc.(116)


ブラジルで印象に残った話をまとめてみた。

183.         薬用樹:カラパナウド

熱帯雨林の中を散策中に出会った樹木の中に「カラパナウド」 と呼ばれている樹があった。
熱帯雨林のこの辺りは非常にマラリアの多い地域であり、住民の多くが一度はマラリアに被病しているようだ。
彼等はマラリアに被病するとこのカラパナウドの樹皮を剥がして持ち帰り、2日間水に漬けてその水を飲むとマラリアに効くと言っていた。
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またまた新たなアマゾンの恵みに出会った。

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大きな樹木の手の届く下の部分には何箇所も樹皮を剥がした形跡がある。

(「カラパナは蚊」で「ウドは木」と言う意味で、マラリアの薬になる樹のようです。)

アマゾンの大自然には色んな薬効の恵みがあるのにも驚きです。

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by wagahai_tt | 2011-04-10 02:51 | 薬用樹

ブラジル紹介:面白い出来事・印象に残る事柄etc.(115)


ブラジルで印象に残った話をまとめてみた。


182.
薬用樹:ベロニカ(Verônica)Dalbergia volubilis (L.) Urban マメ科(Leguminosae)

f0096068_5502637.jpgベロニカは、アマゾン地域では最もポピュラーな薬草の一つで、薬効は血をきれいにする(浄血)、胃液を調整し、肝臓にも良く、食欲を増進し、更にデキモノにも効くとされている。枝葉を煎じて飲用する。町の薬草売り場では枝、幹が、1 本(20cm 位)がR$1~2(70~140 円)で売られている。樹皮、幹を溶かしたものや、抽出液の製品もあり、北伯のスーパーでも見かけられる。


f0096068_5512557.jpgふんだんに川辺に自生しているが、地域によっては全く商品化していないところもある。
木材としても利用されるが、伐採し販売するには、PMF(持続可能な森林利用計画)を要求されることもあるが、この木材は再生力が強く管理も容易であり、採集作業も川辺なので比較的簡単である。

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by wagahai_tt | 2011-04-03 05:52 | 薬用樹