ブラジル紹介: ブラジル大統領の足跡  1


ブラジルの各大統領の足跡をみると、その時代の状況を思い出す事ができる。
赴任から帰国までの期間を、大して面白くもないが主観的に思いつくまま記載してみた。
各大統領の政策内容は、日本では考えられないようなカルチャーショックばかりだ。

1976年 9月 ガイゼル大統領訪日
1977年 7月 言論統制・・軍政令でテレビ・ラジオによる政見発表全面禁止
1979年~1984年 ジョアン・バプティスタ・デ・オリヴェイラ・フィゲイレト大統領

1984年7月~2002年10月、ブラジルへ赴任から帰国までの期間限定で、各大統領の国際的や政治的な政策は別にして、主に我々の生活に直結した事柄を中心にその足跡を、我が儘に3部に分けて簡単に項目を記載してみます。

“この時こんな事があったんだなぁ~・・と勝手に思い出します・・・・。”
 
 

*タンクレット・ネーベス大統領 

1985年 3月 国民投票によるタンクレッド政権誕生で民政スタート、軍政の終焉。
(軍政から民政へ移行)

*ジョゼ・サルネイ大統領時代 
在任期間: 1985年~1989年の5年間(在任期間1年延長した。)

1985年 4月 ジョゼ・サルネイ政権誕生・・4月21日、タンクレッド新大統領が就任直前に死去 したために、サルネイ副大統領が大統領に就任した。
感染症による病死のようであったが、当時は暗殺説も流れた。

11月 サマータイム導入で12月から6月までの6ヶ月間、時間を1時間早めた。
北部アマゾン地域は赤道直下の為に年間を通じて日の出・入りの時間差は殆どなく効果がないので夏時間を導入しなかった。

1986年 2月 経済安定プラン発表
1.1/1,000デノミネーション・・通貨呼称をクルゼイロからクルザード
(CR$⇒CZ$)に変更し、通貨も新たに発行した・・・。
2.価値修正制度廃止・・インフレ0%が前提なので当然かも・・・。
3.賃金及び物価を凍結・・インフレ0%が前提なのでこれも当然。
4.為替の固定化・・海外との関係を無視した政策。
5.失業保険制度設定・・不況による解雇に対する政策。

1987年 1月  社会協定決裂・・政府主導によるインフレ対策に対し政府・企業・労働組合の三者による経済政策協定を試みたが失敗した。
価格凍結解除・・社会協定決裂により、解除が余儀なくされた。
銀行金利・・・・・預金金利 800%/年 貸出金利 1,000%/年インフレ昂進が高金利を生んだが、殆どがインフレで実質金利は微々たるものだった。

2月 モラトリアム宣言・・債務不払い宣言で諸外国の不信を買った。
返済時期の到来した外債や外債利子支払停止及び外資企業の利益配当送金も禁止した。
価値修正制度復活・・インフレの昂進で企業の不満が出て復活せざるを得なかった、復活でインフレ利益控除が可能になった。

3月 銀行のストライキ勃発・・政府のインフレ政策に不満で、全銀行が9日間のストで市場大混乱、預金・出金・手形・小切手・借入・貸出のすべての業務がストップで企業も個人も困惑した。

5月 新価格統制令・・価格の値上げを制限し、更に値上げの認可制を実施し、国家供給管理庁(SUNAB)により監視・統制を行った。

6月 新経済政策発表 
1.物価・賃金凍結・・再度の凍結でインフレの低減を図った。
2.URP(標準価格単位)新設・・物価の標準価格指数を設定。           
3.諸契約価格の調整(引下げ指数)etc・・契約期間により契約価格を引き下げてインフレ抑制を図った。
リセッションの深刻化で倒産企業続出した時期だった。

1988年 1月 新労働法制定・・労働者に対して有利な政策。
1.不当解雇補償制度・・理由なく解雇した労働者に対して給与1ヶ月分を支払う罰金制度。
2.週44時間労働・・48時間を44時間に短縮した。
3.時間外労働割増給・・残業時間給与の50%増し。
4.産休120日間(夫は8日間)・・出産後4ヶ月の有休休暇。
5.フェリアス(法定休暇)に1/3の割増賞与支給を制定不況で失業率が高い時期にそんな新労働法を設定していいのか・・?
益々雇用が困難になった時期だ。

5月 新工業政策発表 
1.輸入制限緩和・・国内産業の保護策の一部緩和
2.輸出事前許可制度廃止、etc・・自由に輸出が出来るようになった。
*サルネイ大統領任期5年(1年延長)を国会決議決定

6月 金融政策変更により、インフレヘッジの目的でもあったドル預金制度が廃止となった。
新党PSDB誕生(PMDB離党議員により)初代党首マリオ・コーバスで,後のカルドーゾ大統領を輩出した政党。
文仁親王殿下(礼宮様)ベレンご訪問(ヒルトンホテルにて物産展。

9月  新憲法完成10月5日公布予定
モラトリアムの終結宣言を行った(約1年半続いた)。  
    
10月 新憲法発布・・労働時間240時間⇒220時間/月に短縮
     
11月 新憲法下で全国統一地方選挙実施(与党PMDB大敗、企業の支持が得られなかった)
     
12月 インフレ率月間28.79%、年間累計インフレ率933.62%で過去最高を記録 、(ハイパーインフレ突入)=物価が1年間で約10倍になった時期。

1989年 1月 新経済政策“夏プラン”  (Plano de Verao)発表
1.諸物価・料金凍結、
2.賃金凍結、
3.1/1,000デノミ実施、通貨呼称ノーボクルザード(NCZ$)
4.為替切下げ(1US$=1NCZ$)、
5.価値修正制度廃止・・再度廃止した。 
6. 公団・公社整理統合
      
2月 *価値修正制度・・企業決算バランスシートにおいてのみ復活した。
昭和天皇「大喪の礼」・・サルネイ大統領訪日、10億㌦の融資約束を取付け、(竹下首相時代)
      
4月 第二次「夏プラン」発表・・価値修正復活(修正指数OTN⇒BTNに変更)
      
6月 [夏プラン」失敗・・インフレ昂進
      
7月 中銀による為替集中管理・・減少を続ける外貨準備高を維持する目的で集中 管理を行い、外資企業の利益配当送金等も中断した。

1989年 11月 フェルナンド・コロール・デ・メロが大統領選を制す (若干40歳)

*価値修正制度・バランスシートの固定性勘定(固定資産、長期債権・債務、資本勘定)を人為的に、政府が設定する一定率で修正する制度であり、結果として企業の決算利益からインフレ利益を控除する制度で、ハイパーインフレ下では効果を発揮した制度である。インフレ沈静化と共に必要なくなった制度で、現在は廃止されている。
“インフレ利益にまで課税されてはかなわんよな・・・。”
この制度は公共料金・税金・一般の債権債務・契約など等、全ての期日のあるものに適用された制度で、支払期日を過ぎた債権・債務の額は全てこの修正率で修正された。

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by wagahai_tt | 2008-03-20 10:23 | ブラジル紹介 | Comments(6)
Commented by kawazukiyoshi at 2008-03-21 16:19
ブラジルも多くの試練の時代がありました。
中南米の政治の難しさはどこの国にも引けをとらないはなしばかりです。
今台湾でも大変難しい局面を向けています。
明日が総統選挙で国中が緊張しているようです。
学生は投票のために故郷に帰っています。
故郷でないと投票できない制度です。
どんな結果が出るか難しいところです。
でも
今日もスマイル
Commented by wagahai_tt at 2008-03-21 19:38
kawazuさん、こんばんは・・・・。
ブラジルも、今は表面的に安定しているようですが、今後どう変化するか分かりませんね。
中南米の中でもベネズエラのチャベス政権が今後どうなるか・・・?
など等、南米諸国もなかなか安定が出来ませんね。
台湾は明日が総統選挙ですか、結果によってはオリンピックのボイコットもあり得るのですか・・・?
故郷での選挙では学生も大変ですね・・・・。
そうですね、今日もスマイル・・・・。

Commented by sumiko at 2008-03-22 19:04 x
こんばんは♪
ゴメンナサイ!賞味期限の切れた頭では難しくて、理解できません(^^ゞ
預金金利 800% とは、現在もですか?
>実質金利は微々たるものだった。
↑どうして???
Commented by vangino at 2008-03-22 19:17
こんばんは
長い赴任期間の間にはいろんな出来事が
あったんですね・・
日本も変わりましたが、ブラジルはまさしく激動でしたね。
そのぶん思い返すと面白かった事柄も多かったでしょう。
Commented by wagahai_tt at 2008-03-22 20:32
sumikoさん、こんばんは・・・・。
何を仰いますか、聡明な頭脳の持ち主が・・・。
預金金利の800%は、インフレが治まった今では10%程度でしょうね。
当時の実質金利は5%/年程度でしょうね。
インフレが795%では殆どインフレで、実質金利は5%ですね。
日本ではなかなか理解できないカルチャーショックですよ。
ただ、この金利でも今の日本よりは高いですよね・・・。
でもすぐにインフレに食われてなくなりますよ。

Commented by wagahai_tt at 2008-03-22 20:40
vanginoさん、こんばんは・・・・。
赴任期間は、日本で経験できないことが多かったですね。
今回、当時の自分のメモを、こんな風に書いてみて面白く当時を思い出しましたよ。
当時は政府も如何にインフレを押さえ込むかで、躍起になっていましたね。
それが空回りしていたので、このようなカルチャーショックが出来ましたよ。
今は日本もこれに近いことが多発していますね・・・・。
まだ2回続きますので、時間があれば読んで見て下さい。

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