ブラジル紹介:面白い出来事・印象に残る事柄etc.(117)

ブラジルで印象に残った話をまとめてみた。

184.        薬用樹:コパイバ
コパイバ(学名:Copaifera multijuga Havne)は、薬用の油が採れる木です。
油には抗生物質、抗炎症、傷治療、抗癌などの効果があり、また、潰瘍や咽頭炎、フケや肌の治療、利尿薬、消毒薬、去痰剤、興奮剤としても使用され、気管支炎、皮膚病、乾癬(かんせん)にも効くといわれます。咳のうがい薬には木の皮が使われ、ペルーのアンデスでは油が有痛排尿困難、梅毒、カタルなどの病気にも用いられます。
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コパイバの木は枝が多く、15~30mの高さに成長します。長い円錐花序には白くて小さな花と種が2~4個入った小さな実をつけます。

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コパイフェラ属には35種類の植物が分類されていて、その多くは南米の熱帯性気候、特にブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ギアナ、コロンビア、ペルー、ベネズエラで見ることができます。これらのうち“C. langsdorffii”の自生地はブラジル中央部に限定され、“C. reticulata”はアマゾン地域原産、“C. officinalis”は広く南米(アマゾンを含む)に分布しています。それぞれが伝統薬用ハーブとして互換的に用いられています。

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しばしば薬用として用いられるのは、コパイバの幹の空洞に溜まる樹液=オレオ・レジンです。メプルシロップと同様に、幹にドリルで穴を空けたり、傷を付けたりして樹脂が集められます。1本のコパイバの木から1年で約40リットルのオレオ・レジンが採れるので、コパイバはサスティナブル(持続可能)な熱帯雨林資源として注目されています。採れたてのオイルは透明でサラサラしていますが、空気に触れると色・粘度共に濃くなってゆきます。市販されているコパイバオイルは粘度が高く、色は青緑色から金色がかった明るいブラウンです。

アマゾン川流域北西地方の『リオ・ソリモエス』では、コパイバ樹脂が、傷薬、肌荒れ、疥癬(かいせん)、淋病の治療に伝統的に用いられています。今日でもアマゾン地方に住む多くのヒーラー(呪術医)やシャーマン(祈祷師)がコパイバ樹脂を使い、痛み、皮膚疾患、虫刺され、炎症の治療を行っています。ブラジルのハーブ医療現場では、コパイバの強力な殺菌作用や炎症を抑える作用を様々な疾患の治療に用いています。応用例としては、肺炎や鼻炎が原因で発生する呼吸器管の去痰、膀胱、肝臓、泌尿器系の感染症、あらゆる種類の皮膚障害、癌、胃潰瘍があります。ブラジルの薬局や店舗でコパイバ樹脂はカプセルやジェルの商品形態で販売されています。ブラジルの一般家庭では、コパイバオイル15滴を温かいお湯に入れてうがい液を作り、扁桃腺の炎症や喉の痛みに用いています。ペルーの伝統医療でもコパイバが喉の炎症に用いられますが、3~4滴のコパイバ樹脂をスプーン一杯のハチミツとブレンドします。ペルーの伝統ハーブ医療では、炎症を抑制し、胃腸からガスを排出し、利尿機能を高め、尿失禁等泌尿器系のトラブル、胃潰瘍、梅毒、破傷風殺菌、鼻水、気管支炎、ヘルペス、胸膜炎、結核、出血、リーシュマニア症の治療にコパイバを利用しています。

癌や腫瘍現象に対するコパイバが与える作用についても科学的見地からの実証例の報告を見ることができます。1994年、日本の研究グループがコパイバから抽出したクレオデン・ジテルペンが癌腫瘍に対し及ぼす作用を確認する為のラット実験を行いました。コラベノルと呼ばれるコパイバ含有成分を1日あたり41mg/kgの割合で癌細胞を持つネズミに与えたところ98%寿命が延び、標準的な化学療法薬(5FU)のケースが46%だったので、コラベノルが2倍有効に作用したと報告しています。


(写真借用:www.kokiriko.co.jp/copaiba/copaiba-marimari-sp.htm )
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by wagahai_tt | 2011-04-17 03:54 | 薬用樹
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